当時はあまり見かけなかった赤い封筒の思い出 

最近では、公私ともにメールのやり取りが多くなり、めっきりと便箋と封筒を使う機会が減りました。
書店の文具コーナーにあるレターセットを探すのも久しい限りです。
十五年位以上前、何かに憑かれたようにポストカードや封筒、便箋を探す時期がありました。
そういう時は紙質や色など、ちょっとしたところが気になるものです。

家の中ももちろんごそごそ探しまわって掘り出したのが、さらに遡ること二十年前になるような、イタリア、イルパピロ(IL PAPIRO)のレターセットでした。
シンプル過ぎるくらいフォーマルな黄味がかったオフホワイトの無地に、赤いバッググラウンドのアルファベットがレターヘッドとして便箋にも封筒にも刷り込まれているもので、紙には透かしも入っており、私ごときが使うにはもったいなく思えるほど、見るからに高級そうなフォーマルな物でした。

お店の人の説明により、使用する人の名前のイニシャルを選ぶということで姓と名のアルファベット2種類を購入し、一つは自分用、もう一つは会社の同僚に渡していました。
しまい込んで長らく忘れ去られていたこのレターセットを押し入れから発見した時は、ちょっとした驚きでした。
今も昔も時が止まったような雰囲気が漂うこのレターセットは、実は大切に使えずに書き損じが続き無駄に使い捨ててしまい、少し残念に思っています。
したがってもう一度機会あれば、大事に使えるよう購入してみたい物の一つとなっています。
ただし、デザインはもう少し違う物が良いのではと、もう何年も長いこと気を長くその機会を待っています。

そしてそれ以来、この透かしの入った紙質の感覚やレターヘッドに使われていた派手でも地味でもない深く鮮やかな赤が、後の封筒や便箋を選ぶ際の基準となったようです。
色々探してみた結果、購入しやすい価格と見た目で最終的に納得が入ったのは、やはり輸入品の比較的高価なコットンペーパー透かし入りのタイプでしたが、一番のお気に入りはそれほど高価でもない国産の、一応コットンで透かしも入ってない赤い封筒でした。
偶然出先で見つけ白い便箋とのセットで購入しましたが、その赤の色味が珍しく見え、めったにないような印象を受けて大事に保存しています。
とても大切な時と思えた際一度使ったかも知れませんが、この赤い封筒を使った時のこちらの重い気持ちが相手に伝わったのかどうかは定かではありません。

今ならWEB通販であらゆるものを検索して手に入れることが可能ですから、当時それなりに手間暇かけたお気に入りの物は、その割には珍しくもなく大したものではありません。
しかし、封筒や便箋を何気なく集めていたりすると、少しですが購入しなくても封筒が集まってくるような時があります。
ちょっと紙質や色が落ち着いて見える黄緑や赤茶色など、お店の店頭ではあまり見かけないようなノベルティーのような感じの物もいくつかあります。
丁度ぴったり使う用途があったためこれらは重宝しました。

また海外系ファッション雑誌を切り抜きしていると、突然とじ込み広告か何かのような形で半透明なハリのある紙に花柄のプリントがされた特殊なページがあり、材質や印刷がとても気に入り、捨ててしまうのが惜しく、封筒に仕立てたこともあります。
今ではあまり見かけない贅沢な雑誌づくりでした。

赤い封筒といえば、ある時オープンしたばかりの美術館の鑑賞券が欲しくて応募したところ、外れながらも奇遇なことに赤い封筒のレターセットが送られてきたことがありました。
開館記念のミュージアムグッズであるレターセットでした。
これは、色や素材よりも、何か電波をイメージするようなちょっとしたボーダー柄裾に印刷されており、とても気に入り、今も使う機会を待っています。
赤はそれほど好きではない色のはずなのですが、封筒の赤はなぜか好きなのです。