20歳の私に届いた一通の封筒

過去の私が送った封筒

私が20歳になった時、自宅に一通の封筒が届きました。
送り主は自分、どこから届いたものなのかは分かりませんでした。
私は恐る恐るその封筒を開封しました。
するとその封筒には中学時代の私からのメッセージが約二枚ほどの便箋に綴られていました。
記憶力が乏しい私は自分がどのような内容の手紙を書いたのかも忘れ、ドキドキしながらその二枚の便箋を開きました。
そこには「20歳の私へ」と言うタイトルが示されており、その一文で全てを思い出すことが出来ました。
卒業式、未来の自分へ宛てた封筒

その手紙は中学の卒業式の日に担任の先生が提案したものでした。
20歳と言う大人になった自分へ手紙を書き数年後、担任の先生から手紙の入った封筒を送ると言う企画でした。
まさか、自分宛てに作った封筒が実際に届くとは思わずびっくりしました。
手紙の内容は殆どが自分へ宛てた質問ばかりでした。
当時の好きな人の話や、好きなアイドルの話、現在結婚はしているかなどの乙女チックで中学生らしい内容が書かれていました。
一つ感動した手紙の内容は一番最後に書かれていた「家族は絶対大切にしてね」と言う一文でした。
これは当時の私にとっても、20歳を迎えた私にとっても変わらない信念でした。
私の家族はちょうど中学生の頃に一度崩壊しています。
母と父が離婚をし、母に引き取られ、その直後に新しい命が母に芽生えました。
新しい家族が増えるとともに、父を失った喪失感は今でも辛い思い出です。
私はその当時から離婚は絶対にしたくない、家族は絶対に大切にしていきたいと思っていました。
まさか届いた封筒の中にその「家族について」の話が書いてあるとは思いもしませんでした。
過去の私も今の私も変わらないと言うことを改めて実感しました。
届いた封筒から気付いたこと

届いた封筒にかかれていた宛先の名前はふざけた名前でした。
今の私の名字とは一致するものの、名前の部分は当時のニックネームが書かれていたのです。
しかし、封筒の送り主は名字も名前も私のものでした。
今思うと中学時代の私は封筒に同じ名前を二つ書くことに違和感を感じていたのだと思います。
とは言え、今私が自分に宛てた手紙を出すとしても同じ名前を書くことは少々気が引ける思いです。
しかし、そんなデタラメな名前を書いていても封筒はきちんと私の元へ届いたのです。
気になった20歳の頃の私はネットで色々調べてみました。
すると、名字と住所さえ合っていれば封筒や手紙、荷物までもがちゃんと届くものだと言うことを知りました。
このことにすごく感動したことを覚えています。
それからしばらくはニックネームが付いている友人へ年賀状を送る時にこのふざけた方法を使っていた事がありました。
仲間内では面白おかしいことですが、郵便配達の方はおそらく大迷惑だったと思います。

大切な封筒は大事に保管

そんな過去から届いた封筒は28歳になった今でも大切に保管してあります。
もう10年以上も昔の話ですが、手紙はいつ読み返しても新鮮に感じるものです。
今でも教室で手紙を書いていた自分を思い出します。
もしも過去の自分へ手紙を出すことが出来れば手紙の内容に色々と言い返してあげたいです。
現在その封筒は、貼られたセロハンテープが色褪せていい味を出してきました。
二枚の便箋は封筒に包まれていたお陰で今でもシワ一つなく読み返すことが出来ます。
この先、おそらく未来の自分へ手紙を出すことは二度とないと思います。
まるでタイムカプセルを開けたかのような感動をくれた中学時代の先生には感謝してもしきれない気持ちでいっぱいです。
将来、私に子供が出来たら私と同じように子供にも未来の自分への手紙を書かせ、しっかりと封筒に入れて20歳の我が子に送り届けてあげたいと思います。
今思えば、その封筒を郵便受けから第一に発見したのが私で良かったと心から思います。