人生の節目のたくさんの封筒

封筒の思い出

人には、様々な人生の節目があります。私の人生の節目において封筒はとても大きい存在でした。封筒は単に郵便物としての役割もありますが、私には人と人をつなぐ大切な暖かい思い出となるものでした。

封筒というと、私が大学4年の時の思い出が真っ先に浮かびます。その頃の私は就職活動で大忙しでした。そそっかしい私は、親にも大学の先生にも迷惑ばかりかける手のかかる学生でした。

お盆明けに、成績証明書を持って大事な面接というときに成績証明書の取り忘れに気づき大騒ぎになったことがありました。お盆中にも関わらず多くの大学職員の方や担当教師が大学に駆けつけて下さり、成績証明書の封筒をいただいたときは本当に恥ずかしく、また感謝の気持ちで頭が下がる思いでした。沢山の面接を受ける為、過去に何通かとっておいた証明書で十分足りると、私はたかをくくっていたのです。

別の時には、返信用封筒に切手を貼り忘れて企業に願書を出してしまった事がありました。後で気付いた時に、ひどくショックを受けたのを覚えています。どうして自分はいつも失敗ばかりしてしまうのだろう、こんなダメな自分は社会人としてやっていく資格があるのだろうかと悩み落ち込んでしまいました。

しかし、しばらくして企業の就職担当者様からお電話をいただき、暖かい言葉をかけていただいたのです。封筒に切手を貼り忘れた時点で、受験資格がなくなり不採用になると思っていました。しかし担当者は就職期の忙しい私をねぎらい、不採用になるという不安を取り除く暖かい言葉をかけてくださいました。同時に応援の言葉までかけていただいて、私は勇気と希望を持ち立ち直ることが出来たのです。おかげで私は封筒を送り直すことができました。そして、自分も社会人になった時、彼女のような思いやりがあり人に勇気や希望を与えられるような人間になりたいと思ったのです。

また、私が企業推薦を悩んで願書提出が締切日当日になってしまった時は、担当教師が夜中遅くまで調査書を作成してくださいました。締切ぎりぎりの午前0時直前に郵便局に願書の封筒を出しに行くのは危ないからと、先生自ら封筒を速達で出しに行ってくださった事もありました。

面接で実家に帰った時、整理が出来ない私に母が「大切なものを入れる封筒だよ」と大きなマチのある紐付き封筒を買って面接に送り出してくれた時はありがたかったです。また、色々なものを一目見て仕分けられるようにと、透明なクリア封筒をわざわざ取り寄せてくれたりしました。透明な封筒はとても便利で、受験企業別にチェックシートや覚書を入れておくと一目瞭然で仕分けが出来ます。また水や汚れに強いので、覚書を中に入れてお風呂で暗記をするなど面接の練習にとても役立ちました。

こうして、周囲の人たちから支えられた封筒を受験企業や官公庁に願書送り無事に就職活動を終えることが出来ました。おかげで私はみごと合格して希望の幼稚園の先生という職業につくことが出来たのです。同じ教職についたことをで、大学の担当教師はとても喜んでくださいました。

働き出してしばらくすると、お世話になった担当教師から1通の大きな封筒が届きました。
何か大学に忘れ物をしたのかと不思議に思って封筒を開けると、そこには「社会人・先生セット、頑張れ!!」と書かれた1枚の紙と、幼稚園の先生がよく使う「よくできました」のハンコセットと、私の名前の実印・通帳印用の印鑑が入っていました。それは、担当教員からの心のこもった就職祝いの品だったのです。

その時は本当にうれしくて涙が出ました。卒業後もこうして祝っていただいたことで、あらためて未熟な私を多くの人が支え、手助けしてくれた事を実感しました。念願の職業について未来への道を進むことが出来たのは、自分一人の力ではないという事を改めて感じたのです。そして現在も、いまの自分がある事は愛のこもった沢山の封筒に支えられたからだと感謝しています。